生命保険と税金
生命保険はその契約者、掛金負担者、被保険者、受取人が誰かで課税関係が複雑です。

上の表の登場人物はすべて個人で家族ということで説明します。
実際には契約者が法人や個人事業主の場合もあると思いますが、複雑すぎるので説明を省略します。
1の場合は、〔保険料負担者=保険金受取人〕に該当するので、Aの所得となります。
この場合は一時所得に該当し、(保険金受取額 - 保険料支払総額額 - 50万円(注))×1/2が一時所得となります。
(注)保険金受取額 - 保険料支払総額 = 50万円未満の場合は、その50万円未満の金額
2の場合は、被保険者Bの死亡により保険金を受け取りますが、1と同じく〔保険料負担者=保険金受取人〕に該当するので、Aの一時所得となります。
3の場合は、〔保険料負担者≠保険金受取人〕で、かつ〔保険料負担者≠被保険者〕に該当するので、AからCへの贈与とみなされます。
4の場合は、保険事故が発生していません。Bは存命で保険金負担者であったAが死亡したパターンです。
この場合保険契約は継続しますので、生命保険契約に関する権利を契約者であるBがAより相続したとみなされます。
5の場合は、〔保険料負担者≠保険金受取〕で、かつ〔保険料負担者=被保険者〕に該当するので、BはAの死亡保険金を相続により取得したとみなされます。
この場合にBがAの法定相続人に該当するのでしたら生命保険金等の非課税の対象となります。
6の場合は、4と同様に保険事故が発生していませんが、契約者であり保険料支払者であるAが死亡しました。
この保険契約に関する権利はAの本来の財産です。このためAが遺言書を作成していなければ相続人間で協議してこの権利を相続することになります。
年末調整や確定申告時に顧問先や顧問先の従業員さんの生命保険料の控除証明書を拝見した際に、保険料負担者と受取人が違う場合がたまにあります。
課税関係に問題があるまま放置すると思わぬ税金を払うことになりかねないのでご注意ください。
また、この問題を解消するために名義変更して保険契約者と保険支払者を変更される方もあると思います。
例えば父が契約者、保険料支払者で、被保険者が子で受取人が孫丙になっている保険があったとします。
このままの契約で子が死亡した場合は、父から孫丙への贈与になってしまいます。
このため父から子に名義変更した場合、父が負担していた保険料はどの時点で課税されると思いますか?
それは保険事故が発生したときなんです。
なので、父が負担していた保険料部分と子が負担していた保険料部分で贈与税の対象になる金額と相続税の対象になる金額とに按分することになります。
生命保険は老後の生活資金や家族の生活資金にとても有効なものです。
また場合によっては、相続税対策や争続対策としても使えます。
是非このような税金のことも念頭において契約していただければと思います。