贈与と相続の関係
- 税理士 松井千春
- 2017年2月6日
- 読了時間: 2分
贈与税は相続税を補完するためにあります。
なので、少しややこしく感じることもあります。
例えば、相続開始前3年以内の贈与です。
これは、相続が発生した場合に、その相続の発生前の3年以内にその亡くなられた方から財産を贈与してもらっていたら相続税の計算上その贈与財産の価額を加算しなければならないというものです。
でも、すべての贈与についてではありません。
加算しなければならないのは、その相続で財産を取得した方が、亡くなられた方から贈与を受けていた場合で、相続税も非課税とされる贈与を除きます。
(例) 相続発生:平成29年2月6日
被相続人:甲(亡くなられた方)
相続人: 配偶者乙、子1、子2
相続・遺贈により財産を取得した者:配偶者、子1
贈与の事実
①平成26年2月5日 子1へ現金500万円
②平成26年3月 乙へ居住用財産2,000万円
③平成26年8月 子1へ現金110万円
④平成27年2月 子2へ現金500万円
⑤平成28年4月 孫へ現金300万円
①の場合は、相続開始前3年を超えていますので相続税に加算する必要はありません。
②の場合は、贈与税の配偶者控除に該当する財産の贈与です。これは相続税の財産に加算する必要はありません。
③の場合は、子1は甲から相続・遺贈により財産を取得していますから加算の必要があります。例え贈与税の基礎控除以下で贈与税の申告が不要であっても加算の必要があります。
④の場合は、子2は甲から相続・遺贈により財産を取得していないため加算の必要がありません。
⑤も④と同様に孫は甲から相続・遺贈により財産を取得していないため加算の必要がありません。
仮に孫が甲が掛金を払っていた生命保険契約で、甲の死亡による生命保険金を受取っていたなら、⑤の場合も加算の必要があります。
このように、ケースは様々なので贈与が相続開始前3年以内だからというだけで判断しては間違ってしまいますので気をつけてください。
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