特別縁故者って?
- 税理士 松井千春
- 2017年2月4日
- 読了時間: 3分
前回のブログは虚偽の贈与で特殊詐欺の被害に遭われた方があったので、信じておられた方には申し訳ないけど、そんな簡単に大金が手にはいることってないのになって思いがあって書きました。
見ず知らずの誰かから財産をもらえるのっていうのは、ほんと無いと思いますが、特別縁故者っていうのはあり得ますよ。
その特別縁故者とは、亡くなられた方に法定相続人がいない場合に、その亡くなられた方の財産を分けてもらえる権利が発生した方のことです。
民法 第六章 相続人の不存在 に以下のように規定されています。
(特別縁故者に対する相続財産の分与)
第九百五十八条の三 前条の場合において、相当と認めるときは、家庭裁判所は、被相続人と生計を同じくしていた者、被相続人の療養看護に努めた者その他被相続人と特別の縁故があった者の請求によって、これらの者に、清算後残存すべき相続財産の全部又は一部を与えることができる。
2 前項の請求は、第九百五十八条の期間の満了後三箇月以内にしなければならない。
相続人の存在が不明で
相続人捜索の期間内に誰も権利を主張する人がいない場合に
特別縁故者が相続人捜索の期間満了後3か月以内に請求することにより
亡くなられた方の財産を受けることができるとういものです。
具体的には、亡くなられた方と内縁関係にあった方や、亡くなられた方の看護やお世話をされていた方などです。
亡くなられた方を生前に助けていたり、生活を共にしていたなどの事実がある方ですね。
亡くなられてから相続人の捜索が始まり、実際に財産を分与してもらえるまでにはかなりな時間がかかります。
その間に相続税法が改正になることもあります。
最近では、平成27年1月1日からの相続は平成26年12月31日までの相続より基礎控除額が縮小されています。
例えば亡くなられたのが平成25年中で、特別縁故者が財産を実際に受けたのが平成29年だったらどちらの法律を適用するのでしょう?
それは、亡くなられた時点の法律なんです。
なので、この場合の基礎控除額は旧法になります。
では、相続税の申告期限日はどうでしょう?
通常の場合は、被相続人の相続の開始があったことを知った日から10か月以内です。
でも特別縁故者が財産を取得した時点では、すでに10か月は過ぎています。
申告期限は、財産の分与があった日から6か月以内になります。
それと、財産の価額も問題です。
相続税法では、相続財産は亡くなられた日の価額として評価します。
でも、特別縁故者が相続財産の分与を受けた場合には、その財産を与えられた時の財産の時価になります。
路線価を付された土地を与えられたのなら、平成25年の路線価を使っての評価ではなく、平成29年の路線価で評価しなければなりません。
いろいろとややこしいですね。
この特別縁故者もいない場合には
亡くなられた方の財産は国庫に帰属、つまりは国のものになります。
やはりそうそう簡単には財産が手に入るっていうことは無いですね(;'∀')
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