No.3114 離婚して土地建物などを渡したとき について
- 税理士 松井千春
- 2017年1月29日
- 読了時間: 3分
先日は、離婚して財産をもらったときについてのタックスアンサーの解説をしました。
基本的には財産分与として財産をもらった場合には贈与税はかからないということでした。
では、財産を渡した側はどうでしょうか?
自分の持ち物を誰かに渡すとすれば、
贈与・・・無償(0円で渡す)
売却・・・有償(いくらか貰って渡す)
の、いずれかですよね。
財産分与で贈与税がかからないのなら、その財産を渡したほうは何も気にしなくていいんじゃなり?って思われるかもしれませんが・・・
No.3114 離婚して土地建物などを渡したときには以下のように書かれています。
夫婦が離婚したとき、相手方の請求に基づいて一方の人が相手方に財産を渡すことを財産分与といいます。
財産分与が土地や建物などで行われたときは、分与した人に譲渡所得の課税が行われることになります。 この場合、分与した時の土地や建物などの時価が譲渡所得の収入金額となります。
次に、分与を受けた人は、分与を受けた日にその時の時価で土地や建物を取得したことになります。
したがって、将来、分与を受けた土地や建物を売った場合には、財産分与を受けた日を基に、長期譲渡になるか短期譲渡になるかを判定することになります。
(所基通33-1の4、33-9、38-6)
財産分与として渡す財産が土地や建物などの場合は譲渡所得の収入金額となります!
つまり、所得税がかかるかもしれません💦
これは、税法が財産の移転を実質的な観点でみているからです。
財産分与を現金ですれば関係ないですが、その現金がなかったら土地や家を売却して清算するわけですね。
なので、土地や家を財産分与した場合は次の1,2のように一旦売却したと考える訳です。
1. 土地、建物を売却 ・・・売却額が現金で手許に入る
2. 1の現金を財産分与として渡す
時価が譲渡収入になるというのも、一旦売るということはその時の売れる価額ということになるので『時価』ということになるんですね。
実際には売ってもいないのに、売ったことにしてってなんだか腑に落ちないかもしれませんが^^;
例として、夫が妻に財産分与で夫婦が住んでいた土地や家を渡したとします。
時価は仮に4千万円だったとします。
購入価額や購入時の諸経費、減価償却相当額控除、譲渡経費諸々の合計は3千万円の場合
譲渡所得の計算は次の算式で計算します。
⑴ 譲渡収入金額
⑵ 取得費
購入価額+購入時の諸経費-減価償却相当額(建物の価値が経年劣化等により減少した部分)
⑶ 譲渡経費
譲渡の際に要した経費
⑷ 譲渡所得=⑴ - ( ⑵ + ⑶ )
4千万円 - ( 3千万円 ) = 1千万円
⑸ 特別控除
1千万円 < 3千万円 ∴ 1千万円
⑹ ⑷ - ⑸ = 0
今回の例は、住んでいた土地、建物を譲渡(財産分与)したので、居住用財産を譲渡した場合の特例が適用できます。
この特例は譲渡所得の3千万円までの金額は特別控除により課税所得場がゼロになるというものです。
ゼロになるから申告が要らないというわけではありません。
面倒でも確定申告はしなければならないので注意が必要です。
財産分与が居住用の土地・建物では無い場合は、特別控除が適用されないので財産を渡された方に所得税がかかる可能性があります。
財産を手放して手元には1円も残っていないのに税金がかかる!(@_@)
また、№3314のしたがって~以降は、その財産を貰った人が、その後その財産を売却した場合のことを書いています。
譲渡所得は短期的保有の財産については少し重い税率が適用されますので、所有期間の判定がいつ起算なのかを書いています。
贈与の場合だと、贈与者(もともとの所有者)が購入した日を引き継ぎますが、財産分与の場合は通常の譲渡と同じように名義が移転した財産分与日ということになるわけです。
離婚せずに添い遂げる場合は関係のない話ですが、
もしも該当することになったのなら...ご注意ください。
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