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特集記事

取引相場のない株式の評価8

相続対策、事業承継対策などでは財産がいくらの価値なのか?がとても重要です。

その中でも同族経営の株式の評価は複雑で、なかなか経営者ご自身でも理解をされている方は少ないと思います。

税理士であっても相続に詳しくない場合よくわかってない人はいます。

そこで、経営者の方々にある程度までは知っていただきたく「取引相場のなり株式の評価」と題して1~7まで書いてきました。

今日は、株価を下げるということについて書いておきます。

① 配当をやめる

  類似業種比準価額方式のⒷの部分です。

  配当をしても会社の損金にはなりませんし、Ⓑの金額が分母のBの金額より小さい方が類似業種比準価額は低くなります。

② 利益を抑える

  類似業種比準価額方式のⒸ・Ⓓの部分です。

  ・役員退職金の支給・・・代替わりなどのタイミングで退職金を支給して損金計上すれば利益は減少します。

  ・オペレーティングリース(船舶・飛行機・コンテナ)の活用

  ・生命保険金の活用

  ・不良在庫の処分

  ・不良債権の処理

  ・含み損のある固定資産を売却する

  つまり、費用を計上すれば利益は下げられますので、評価も下げられるということです。

  だからといって無用な費用支出や利益を下げるために無理な手段を講じないでくださいね。含み損があるからといって会社に必要な固定資産なら売却はできないですよね。

③ 会社区分の変更

  会社規模が小会社・中会社で、類似業種比準価額<純資産価額の場合、併用方式の類似業種のLの割合を増やすほうが株価は下がります。

  小会社の場合は50%、中会社の場合、中の小=0.60、中の中=0.75、中の大=0.90

  なので、以下のようにひとつ上の区分に変更できれば少しでも株価は下げられます。

  小会社 → 中の小

  中の小 → 中の中

  中の中 → 中の大

  中会社の大 → 大会社

  とはいえ、総資産、従業員数、1年間の取引金額により判定しますので簡単ではありません。

④ 純資産価額を下げる

  不動産を購入して賃貸経営をする。

  よく相続税対策でも持ち上がる内容です。

  現金1億円で土地・建物を購入した場合、相続税評価で純資産価額は計算しますので評価額は1億円を下回りますので純資産価額は現金1億円持ったままより下るわけです。また、賃貸経営の場合は借家権・借地権部分を控除できるのでより評価額は下がります。

  ただし、その不動産の取得等が3年以内の場合は時価(一定の場合には帳簿価額)で評価することになっていますので、取得等してから3年を超えなければなりません。

⑤ 配当をする

  ①の配当をやめるの正反対ですが、これは以下のような特殊な会社の場合です。

  比準要素0の会社 かつ 純資産価額が大きい

  前回のブログに書きましたが比準要素0の会社の評価方式は「純資産価額方式」です。

  類似業種と比準する要素の全てが0となる会社というのは、年配当金額、年利益金額、純資産価額のすべてが0です。

  この類似業種と比準する純資産価額というのは税務上の帳簿価額です。

  資本金が100であっても利益積立金が△100なら0になります。

  「純資産価額方式」の純資産価額は含み益を顕在化させた純資産価額です。

  大昔に会社が買った土地などは帳簿上は低くても相続税法上はかなり高くなる場合があります。

  このような含み益がたくさんある会社で、この何年もの業績が思わしくないという会社は「純資産価額方式」で評価すると株価が高い訳です。

  こういう会社が配当を少しでもすれば、比準要素1の会社になりますので、類似業種比準価額との併用が選択できるようになります。この場合のLの割合は0.25です。

株価を下げて贈与や会社に譲渡(自己株式=金庫株)するなどをすれば税負担は少なくできます。

今まで書いた内容をを少しでも参考にしていただき、対策に役立てていただければ幸いです。

会社を経営されている方は、できれば決算の度にでも自社の株式の価額がいくらなのかを算定してもらってください。

もちろん有料だと思いますが、相続対策や事業承継対策のためには必須です。

(注)

これまで書いたものは相続税評価の基礎的な部分のみです。

相続時点ではなく贈与・譲渡のための評価は通常の相続税の計算上の評価とはまた違った規定や注意点があります(所得税法、法人税法との関連のため)のでご注意ください。

株価がわかれば当サイト【無料】相続税試算で相続税額や財産の分け方のシミュレーションができますので是非お試しください。


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