取引相場のない株式の評価6
今日は「類似業種比準価額」について
この「類似業種比準価額」は、事業の種類が同一又は類似する複数の上場会社の株価の平均値に比準する方式により計算した価額です。
計算式は下図のとおりです。

A、B、C、Dは、国税庁のホームページで公表されています。
今日現在では、28年10月分まで掲載されています。
Aの類似業種の株価は、評価しようとする月以前3か月間の各月の類似業種の株価と、類似業種の前年平均株価のうち最も低いものを選択します。
分子のⒷ、Ⓒ、Ⓓは評価しようとする会社の数字です。
それぞれの数字は1株当たりの資本金額が50円であるとして算出します。
また、それぞれに注意事項があります。
例えば、Ⓑは配当金額といっても、直前期末と直前々期末との平均(特別配当や記念配当を除く)など。
それと、この類似業種ですが、評価しようとする会社が
上記の≪平成28年分の類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等について(法令解釈通達)≫に記載された業種目の区分によります。
この業種目は、小分類、中分類、大分類とありますし、もしも評価しようとする会社が複数の業種を営んでいる場合は、50%を超える業種目で判断します。
50%を超える業種目がない場合もありますよね。
その場合は業種目別の割合に応じて判定します。
そこまで書くと大変なので省略します。
これらの他に、直前期末の翌日から評価する時期までに配当金交付の効力等が発生した場合は類似業種比準価額の修正も必要です。
上記の計算式のB:C:Dの比重は現在1:3:1ですが、平成29年改正税制の大綱には1:1:1とすると記載されていますので改正される可能性があります。
では、原則的評価方式の場合は前回ご紹介した『純資産価額方式』と今回の『類似業種比準価額方式』のどちらで計算すればよいのでしょうか?
これは、最初に判定した会社規模によります。

会社規模によって、使う計算式が違いますね。
基本的には、それぞれの会社規模毎の上段の評価方式で計算された株価となるんですが、
どの規模も選択可能となっているので、結局のところ『純資産価額方式』と『類似業種比準価額方式』のどちらも計算しないといけないわけです。
また、場合によっては株式の価額の修正が必要になります。
上図には「一般の評価会社の評価方法」と書いています。
そうです、一般以外の評価会社があるということです。
一般以外の評価会社とは以下の6種類です。
1. 比準要素数1の会社
2. 株式保有特定会社
3. 土地保有特定会社
4. 開業後3年未満の会社
5. 開業前又は休業中の会社
6. 清算中の会社
これらに該当する会社の評価は原則的評価方式ではないということです。
続きは次回以降に。